作者 生没年 |
月岡芳年(つきおかよしとし) 1839(天保10)-1892(明治25) |
---|---|
制作年 | 1865(慶応元)年 |
サイズ | 348o×224o |
技法・素材 | 木版(多色) |
解説 | 月岡芳年は、幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師です。『和漢百物語』は、師匠である歌川国芳の作風をよく受け継いだ、芳年初期の傑作です。「百物語」とは、もともとは百の灯のなかで怪談を語り合い、1話終わるごとに、1灯を消し、百話を語り終えて部屋が真っ暗になったときに、本当の怪異が起こるといわれる怪談会を指す言葉です。芳年の『和漢百物語』は日本と中国の妖怪絵の連作で、26図にくわえ、シリーズ名と各図のタイトルを美しく配列した目録があります。 田原藤太秀郷は、10世紀に実在した武人です。芳年は、藤太が竜宮へ出向き大ムカデの化物を退治する逸話を描きました。藤太は色鮮やかな衣裳に身を包み、大ムカデを射ろうと矢をかまえます。そのうしろに隠れる美女は、「瀬田之龍女(せたのりゅうじょ)」、竜宮に生きる女性です。大ムカデは、中国風の衣裳で唐扇をもっていて、その姿は恐ろしいというより、どこか笑いをさそう愛嬌があります。波しぶきが打ち寄せる中で大ムカデを狙う藤太、緊張の一瞬です。 |
所蔵美術館 | 町田市立国際版画美術館 |