作者 生没年 |
アルブレヒト・デューラー Albrecht Dürer 1471-1528 |
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制作年 | 1512年 |
技法・素材 | 版画(エングレーヴィング) |
解説 | アルブレヒト・デューラーはドイツの国民的画家としてよく知られた美術家です。数多くの絵画や版画のほか、人体比例や遠近法の研究書も著しました。彼は20代初めの頃、徒弟修業を終えると、各地の名の知れた親方のもとでさらに腕に磨きをかけるため遍歴修業にでます。その時デューラーは、アルザス地方のコルマールに居を構えていたマルティン・ションガウアーを訪ねるのですが、残念ながら既に他界していたというエピソードが伝えられています。彼がションガウアーを訪ねようとしたのは、その名声を耳にしていたことと、実際にその版画を目にもしていたからで、大きな影響を受けています。 このWEB美術館ではその因縁の二人の作品をご覧いただけます。 この作品でデューラーは受難伝の中のキリストが重い十字架を背負ってゴルコタの丘へ向かう場面を描いています。ションガウアーの作品と同じ技法ですが、線の繊細さが一段と進み、驚くほど陰影に富んだ表現です。キリストの右肩からその襟もとをつかむ刑吏の左腕、そして背中へと流れる光が視線を誘い、緊張感を高めています。画面向かって左前方で膝まづいているのはヴェロニカです。彼女が差し出す布にキリストが気づいた、その一瞬がこの画面に捉えられているのです。ヴェロニカがキリストの額の汗と血をぬぐった布にはのちにキリストの顔が浮かび上がり「聖顔布」と呼ばれることになります。 |
所蔵美術館 | 町田市立国際版画美術館 |