作者 生没年 |
高橋由一(たかはしゆいち) 1828(文政11)-1894(明治27) |
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制作年 | 1874(明治7)年 |
サイズ | 縦61.0cm×横80.0cm |
技法・素材 | 麻布、油彩 |
解説 | 高橋由一は、文政11年(1828年)下野国佐野藩士の子として江戸藩邸に生まれました。1862年に洋書調所の画学局に入局し、川上冬崖の下で洋画と洋学を勉強しました。慶応2年(1866年)、当時横浜に住んでいたイギリス人ワーグマンから油彩を学んでいます。明治6年(1873年)には画塾・天絵楼を創設し、多くの弟子を育てました。また、明治9年に工部美術学校教師として来日したイタリア人画家アントニオ・フォンタネージの画室をしばしば訪れて油彩技法を教わったと言われています。明治22年(1889年)には浅井忠らと明治美術会を結成して洋画の振興に努めましたが、明治27年(1894年)に67歳で没しています。謹厳で写実的な画風が特徴で、近代日本最初の洋画家として知られ、代表作に「鮭」(1877年頃、東京芸術大学蔵、重要文化財)、「花魁」(1872年、東京芸術大学蔵、重要文化財)、などがあります。 満開の桜と芽吹き始めた葉が前景に力強く明確に描かれる一方、背景の墨水(隅田川)は遠くぼんやりした調子で描かれています。前景と遠景が強く対照される画面配置は、江戸時代の洋風画や浮世絵にも通じる構図です。府中市美術館では、日本と西洋の交流に着目しながら、近代洋画を中心とした系統的な作品収集に努めていますが、本作品は、本格的な西洋画の洗礼を受ける以前の日本的構図の油絵の貴重な作品であり、府中市美術館のコレクションの核として、重要な役割を果たす作品であると考えております。 |
所蔵美術館 | 府中市美術館 |